読書感想文その2

その2。

夏休み (集英社文庫)

夏休み (集英社文庫)

初めて読んだ中村航の作品でしたが、うーん、良い意味でも悪い意味でもどうにも淡白な作品でした。意図してこういう風な淡白な作品に仕上げたのかもしれませんが、僕が期待していたような作品とは違ったかな、という。ちょっと残念。他の作品も読んでみたいです。


麦ふみクーツェ (新潮文庫)

麦ふみクーツェ (新潮文庫)

心から出会えてよかったと思えるような一冊でした。色んなことを考えさせられた。人がこの世界に生まれるということ。この世界で一人で生きていくということ。自分は世界中で一人だけの存在だということ。人と人とが出会うということ。どんなに出鱈目な人生にも素晴らしいことはあるということ。そして、音楽は素晴らしいということ。
この作品と出会えたことに感謝します。

([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫)

([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫)

おもしろい。ひたすらにおもしろい。森見氏お得意の冴えない大学生が主人公ということで、いささかネタ切れ感があるのでは、などと思っていましたが、全くの杞憂だったようで。作者初となる書簡体小説で、特に読みにくいというわけでもなく、書簡形式だからこそ出来るちょっとした仕掛けもあり、最後まで楽しんで読めました。作中に作者本人が出る辺りにはニヤリとさせられ、守田くんが伊吹さんに宛てた失敗書簡集には噴き出すのを堪えるのに苦労した。(教習所の待合室で読んでいた)未だに森見氏の作品で読んでいないものがあるので、この夏休みで出来る限り読んでみようと思いました。


パンドラの匣 (新潮文庫)

パンドラの匣 (新潮文庫)

きちんと読んだ太宰作品はこれが初めてでした。「正義と微笑」「パンドラの匣」の2作が収められています。どちらも青春小説ということもあったのか、非常に読み易かったです。そして、何よりおもしろかった。よく、太宰の作品は暗いと言われているけど、こんな風に明るい作品もあるんですね。どの時代でもこの時期の少年は、みんな中二病のようなものではないのでしょうか。読了後、すがすがしい気持ちになれる一冊です。「パンドラの匣」の仕掛けにはしてやられたと思うと同時に、ニヤリとしてしまいました。


斜陽 (新潮文庫)

斜陽 (新潮文庫)

明るい太宰を読んだあとは暗い太宰を読んでみたくて。鬱々とした作品ではありましたが、非常に綺麗な作品でもあったとも思います。破滅の美学と呼ばれるものはこういった作品から生まれたのかもしれませんね。印象深い文章に溢れていて、すんなり読了できるものの、何度も何度も読み返したくなるような魅力があります。
「人間は恋と革命のために生れて来たのだ」は何度読んでも名文。


その3も、もしかしたらあるかもしれません。太宰作品をもっと読んでみたいのです。