「違う人みたい」
- 作者: 乙一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/05/19
- メディア: 文庫
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乙一の作品にはグロテスクな描写多めな、いわゆる黒乙一と切ない話で締める、いわゆる白乙一があるんですが、この作品には白黒混濁のバラエティに富んだ短編が詰まっているのですごく読みやすいのではないかと。まだ乙一作品を読んでいない方なんか是非是非。十分に衝撃的です。
僕が好きだったというか、一番衝撃を受けた短編は何と言っても「SEVEN ROOMS」です。アイデアや構成の上手さ、トラウマになりそうなくらいにグロテスクな描写、そして最後の一文の鮮やかさ。どれを取っても素晴らしいと思います。(ただし読む人を選ぶのかなぁ、なんてamazonのカスタマーレビューを見ていると思ったりもしますが)
他には、タイトルと共に暖かくて心地のよい「陽だまりの詩」や理不尽な環境のなかでも精一杯に生きる主人公に励まされる「カザリとヨーコ」、意外な結末に想像するだけでも眩暈がする「神の言葉」なんかが好きですね。人によって大きく好みが分かれる短編集だと思います。
そういえば、だいぶ前に乙一の新作が出たみたいで。未だに読めてないんですが、どうなんだろう。文庫化まで待つか。