「(Two) into holy」「To (melt into)」/ THE NOVEMBERS

(Two) in to holy

(Two) in to holy

To (melt into)

To (melt into)

前作から1年半ぶり、同時発売された1stシングル・3rdアルバム。

THE NOVEMBERSはどこかとっつきにくいところがあるバンドだと思う。ネガティブな歌詞や轟音ギター、それに小林氏の感情を爆発させるようなシャウト、それらが創り出す陰鬱な世界観は決して、受け入れやすいものではない。しかし小林氏いわく「THE NOVEMBERSの音楽を多くの人に聞いてもらいたいし、誰にでも理解してもらいたい」のだと。どこかのインタビューでそのように話していた。それを考えると彼らは本当に不器用なバンドなのかもしれない。何かとART-SCHOOLと比較されがちな彼らだが、この不器用さは正しくART-SCHOOLそのものだと思う。しかし、同時に、演奏や表現としてはこのバンドほどに器用なバンドは滅多にいないように思える。

デビュー当時から演奏技術は凄まじく高かったが、表現の幅は作品を重ねるごとにどんどんと広がっている。シングル・アルバム共に今作は素晴らしい内容だったと思う。以前に比べて長尺の曲が増えたが、それでもリスナーを最後まで飽きさせることなく聞かせられるのは、根底に小林氏が書く冴えたメロディがあってこそだろう。捨て曲などというものは1曲たりとも存在していない。本当に2枚通して、全曲が素晴らしいし、全曲が流れとして非常に美しい。

個人的に特筆したいのは「(Two) into holy」からは「melt」、「To (melt into)」からは「彼岸で散る青」を。前者は彼らの中でも最長の曲であり、前半につくりあげた童謡的な世界観を後半の轟音で破壊していく様子がどうしようもなく美しい。後者は終盤の小林氏のシャウトが凄まじく、まさに呑み込まれていきそうな名曲だ。

決してわかりやすいバンドではないと思う。それでも僕も小林氏と同様に、是非とももっと色んな人にNOVEMBERSの曲を聞いてもらいたいと、心からそう思う。